睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状
下記の症状のうちいずれかが当てはまれば、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。
☑家族や同居人から「いびきが大きい」「就寝中の無呼吸」を指摘される
☑常に眠気がある。耐えられない眠気に襲われる
☑慢性的に疲労感がある
☑よく寝ても熟睡感が無い
☑集中力や記憶力の低下を感じる
☑夜中によく目が覚める
☑起床時に、頭痛や口や喉の渇きがある
高齢者の症状
高齢者の睡眠時無呼吸症候群の発症率は、65歳以下の成人と比較すると高くなっています。高齢者の方の場合には、以下のような症状が現れることも特徴です。
☑夜間の頻尿
☑失禁
☑認知機能障害(認知症)
☑抑うつ
日中の眠気により転倒、骨折をして寝たきりになってしまうケースもありますので、注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS)には、その原因により2種類のタイプに分かれます。
【閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)】
一般的に「睡眠時無呼吸症候群」というときは、こちらのOSASを指します。
OSASは、気道(喉の空気の通り道)が極端に狭くなってしまう、もしくは完全に塞がってしまうことで、いびきや無呼吸が起こります。
気道が塞がってしまう要因として、以下が考えられています。
・肥満(顎や首に脂肪がついている)
・扁桃腺の腫大
・顎が小さい
・舌が大きい
・その他、顔の構造学的異常
原因の多くは肥満とされていますが、日本人の場合は「やせ形で顎が小さい方にも多い」のが特徴です。顎が小さいと、上気道が狭くなるため、睡眠時無呼吸症候群になりやすいとされています。他にも、閉経後の女性や高齢者の方でも発症しやすくなります。
【中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)】
睡眠時無呼吸症候群の方の中でも数%しかいない珍しいタイプです。
CSASは、気道は狭くならないものの、脳から呼吸筋への指令が出なくなってしまい無呼吸を引き起こします。発症にはさまざまな要因が関係しますが、一般的に心臓の病気を抱える方に多いとされています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスク
① 交通事故
2003年に起きた山陽新幹線の運転士による居眠り運転も、睡眠時無呼吸症候群が原因によるものでした。幸いにも犠牲者は出ませんでしたが、時速270キロメートルで約8分間も居眠り運転をした後、自動列車制御装置が作動して停車しました。運転士は車掌に起こされるまで眠り続けており、意識がなかったといいます。
このように、睡眠時無呼吸症候群(SAS)になると、突然の眠気や極度の眠気に襲われ、命に支障をきたすような大事故を引き起こす可能性があります。特に、毎日のように車やバイクの運転をされる方は要注意です。
② 合併症
高血圧や糖尿病などの生活習慣病を合併しやすくなるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群を放置していると、生活習慣病の治療をしても十分な効果が得られないこともあります。
また、繰り返す低酸素状態によって、心不全、不整脈、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)を発症するリスクが高くなります。
取り返しのつかない事故や合併症を未然に防ぐためにも、睡眠時無呼吸症候群に心当たりのある方は、早期治療が重要になります。